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浪華悲歌 [映画のこと]
山田五十鈴が、自分の人生を決めた作品、と言っていたのが、
この「浪華悲歌(なにわえれじー)」と、「祇園の姉妹(ぎおんのきょうだい)」
なのだとか。
先日、「祇園の姉妹」を観て、こちらも観たくなった。
両作品とも、監督・溝口健二、脚本・依田義賢。
女学校を卒業し、電話交換手として働くアヤ子(山田五十鈴)は、
父親が職場の金を横領してしまったことから、
自分が勤める会社の社長(志賀廼家弁慶)の愛人になる。
その後、兄が大学の学費に困っていると聞き、
やはり放っておけなくて・・
という、新藤兼人監督いわく、「敗れた女が主人公」の物語だ。
多分、こうはならない。
今なら他にも方法が考えられるし、おそらくアヤ子と同じ道は
辿らないで済む気がする。
でも、それならリアリティはないはずだが・・わかる。
彼女の気持ちが、手にとるように伝わってくる。
ずしんと来るのは、90%くらいはこうならないけど、
残りの10%、絶対ならないと言い切れない、
わずかな隙間にぎゅっと詰まったリアル、なのかもしれない。
不良少女って言葉が、何時からあるのかわからないが、
この時代にはすでにあったようで、ちょっとびっくりであった。
「どこまで悪くなるかわからない」
というセリフは、ほんとうに切羽詰まった感があった。
好きな男が、自分だけなんとか救われようと言い訳を続けている。
それを聞いているアヤ子の表情が、悲しすぎて痛かった。
(1936年、日本、71分)
この「浪華悲歌(なにわえれじー)」と、「祇園の姉妹(ぎおんのきょうだい)」
なのだとか。
先日、「祇園の姉妹」を観て、こちらも観たくなった。
両作品とも、監督・溝口健二、脚本・依田義賢。
女学校を卒業し、電話交換手として働くアヤ子(山田五十鈴)は、
父親が職場の金を横領してしまったことから、
自分が勤める会社の社長(志賀廼家弁慶)の愛人になる。
その後、兄が大学の学費に困っていると聞き、
やはり放っておけなくて・・
という、新藤兼人監督いわく、「敗れた女が主人公」の物語だ。
多分、こうはならない。
今なら他にも方法が考えられるし、おそらくアヤ子と同じ道は
辿らないで済む気がする。
でも、それならリアリティはないはずだが・・わかる。
彼女の気持ちが、手にとるように伝わってくる。
ずしんと来るのは、90%くらいはこうならないけど、
残りの10%、絶対ならないと言い切れない、
わずかな隙間にぎゅっと詰まったリアル、なのかもしれない。
不良少女って言葉が、何時からあるのかわからないが、
この時代にはすでにあったようで、ちょっとびっくりであった。
「どこまで悪くなるかわからない」
というセリフは、ほんとうに切羽詰まった感があった。
好きな男が、自分だけなんとか救われようと言い訳を続けている。
それを聞いているアヤ子の表情が、悲しすぎて痛かった。
(1936年、日本、71分)
ブライド [映画のこと]
大好きな「フランケンシュタインの花嫁」のリメイク(らしい)。
でも、観る前にあらすじを読んでみたら・・あれ??
『人造人間ビクターの為に、女性の人造人間イーバを造り出したフランケンシュタイン博士。
イーバの美しさに魅了された博士は、彼女に礼儀作法を教え、パーティに連れて行く。
一方、博士にイーバを取り上げられたビクターは、小人リナルドと共に旅に出る』
(映画.comより)
オリジナルと同じなのは、最初の1行だけ。
フランケンシュタイン博士は、死体をつないで「怪物」を創ったことを、
とても後悔していたが、プレトリアス博士にそそのかされて、
怪物の花嫁をつくることになる・・・という内容のはず。
やっぱり、見事なまでのB級感。
B級の良さが詰まった作品(笑)、とでも言うべきか。
画が案外きれいで、美術も丁寧な印象。
死んでいたとはとても思えない、
健康そうなイーバ(ジェニファー・ビールス)。
ありえないスピードで知識と教養を身につけ、恋もするようになる。
博士の屋敷から逃げ出した怪物(クランシー・ブラウン)は、
子どもにいじめられていたリナルドを助け、ビクターという名前をつけてもらう。
彼は体が大きいだけで、それほど怖くない。
なので、リナルドとサーカスで職を得ることもできて、
ふたりで夢を語り合ったりする。
対するフランケンシュタイン博士(スティング)が、顔色悪くて。
古いお屋敷に住んで、色白で神経質っぽいし、ドラキュラみたいだ。
そして、傲慢で嫉妬深い。
イーバをかばって、彼女の外出を隠したメイドを即クビにしたり、
本の著者の間違いを指摘されたら、
その本を暖炉に捨てて証拠隠滅しちゃう。
なんじゃこりゃ、ってつっこみながら観ると楽しめる(笑)。
でも、不思議と腹立たしい気持ちにならないのは、
「サンキュー」をていねいに言う、ビクターのキャラクターのせいかも。
(1985年、アメリカ、119分)
でも、観る前にあらすじを読んでみたら・・あれ??
『人造人間ビクターの為に、女性の人造人間イーバを造り出したフランケンシュタイン博士。
イーバの美しさに魅了された博士は、彼女に礼儀作法を教え、パーティに連れて行く。
一方、博士にイーバを取り上げられたビクターは、小人リナルドと共に旅に出る』
(映画.comより)
オリジナルと同じなのは、最初の1行だけ。
フランケンシュタイン博士は、死体をつないで「怪物」を創ったことを、
とても後悔していたが、プレトリアス博士にそそのかされて、
怪物の花嫁をつくることになる・・・という内容のはず。
やっぱり、見事なまでのB級感。
B級の良さが詰まった作品(笑)、とでも言うべきか。
画が案外きれいで、美術も丁寧な印象。
死んでいたとはとても思えない、
健康そうなイーバ(ジェニファー・ビールス)。
ありえないスピードで知識と教養を身につけ、恋もするようになる。
博士の屋敷から逃げ出した怪物(クランシー・ブラウン)は、
子どもにいじめられていたリナルドを助け、ビクターという名前をつけてもらう。
彼は体が大きいだけで、それほど怖くない。
なので、リナルドとサーカスで職を得ることもできて、
ふたりで夢を語り合ったりする。
対するフランケンシュタイン博士(スティング)が、顔色悪くて。
古いお屋敷に住んで、色白で神経質っぽいし、ドラキュラみたいだ。
そして、傲慢で嫉妬深い。
イーバをかばって、彼女の外出を隠したメイドを即クビにしたり、
本の著者の間違いを指摘されたら、
その本を暖炉に捨てて証拠隠滅しちゃう。
なんじゃこりゃ、ってつっこみながら観ると楽しめる(笑)。
でも、不思議と腹立たしい気持ちにならないのは、
「サンキュー」をていねいに言う、ビクターのキャラクターのせいかも。
(1985年、アメリカ、119分)
わが母の記 [映画のこと]
原作は、井上靖の自叙伝的小説。
わが母の記、というより、わが家族の記、だなあと思った。
日本の古き(そんなに古くないけど)良き時代の、小説家の家族。
認知症のおばあちゃんを、押しつけあったりせず、
家族みんなでちゃんと看るという。
時々愚痴を言ったり、おばあちゃんの言動に、つい怒ったりする
ところがリアルで良かったかな。
観る前は、主人公の伊上洪作(役所広司)と、
母・八重(樹木希林)との間に、とても深い溝があり、
相当ぎこちなく接しているのかと思っていた。
でも実際は「兄弟の中で、自分だけが捨てられた」という
思いは常にあるものの、案外普通の母と息子で、
兄弟仲もいいし、娘たちはいい子で、
なんていうか、ほんといい家族で。
言いたいことをいう(言われても言い返す)
八重のキャラクターは、かわいらしい。
親は年をとると小さくなっていくが、八重も年を追うごとに、
だんだんと本当に小さくなっていくように見えた。
やっぱりそれは、樹木希林の演技力なのかな。
伊上の娘たち(ミムラ、菊池亜希子、宮﨑あおい)が
ほんとの姉妹のようで、トランプしたり、ふざけあったり
している様子が、とてもリアル。
そう、派手な演出をあえて避けたのかもしれないが、
大袈裟にお涙ちょうだいにしたくなかったのかもしれないが、
全般的にリアル過ぎたかも、と思う。
淡々と時間が流れるので、ちょっと長く感じた。
伊豆と軽井沢の風景はとても美しくて、こういう所で
温かい家族と晩年を過ごせた八重さんは幸せだっただろうな。
(2012年、日本、118分)
わが母の記、というより、わが家族の記、だなあと思った。
日本の古き(そんなに古くないけど)良き時代の、小説家の家族。
認知症のおばあちゃんを、押しつけあったりせず、
家族みんなでちゃんと看るという。
時々愚痴を言ったり、おばあちゃんの言動に、つい怒ったりする
ところがリアルで良かったかな。
観る前は、主人公の伊上洪作(役所広司)と、
母・八重(樹木希林)との間に、とても深い溝があり、
相当ぎこちなく接しているのかと思っていた。
でも実際は「兄弟の中で、自分だけが捨てられた」という
思いは常にあるものの、案外普通の母と息子で、
兄弟仲もいいし、娘たちはいい子で、
なんていうか、ほんといい家族で。
言いたいことをいう(言われても言い返す)
八重のキャラクターは、かわいらしい。
親は年をとると小さくなっていくが、八重も年を追うごとに、
だんだんと本当に小さくなっていくように見えた。
やっぱりそれは、樹木希林の演技力なのかな。
伊上の娘たち(ミムラ、菊池亜希子、宮﨑あおい)が
ほんとの姉妹のようで、トランプしたり、ふざけあったり
している様子が、とてもリアル。
そう、派手な演出をあえて避けたのかもしれないが、
大袈裟にお涙ちょうだいにしたくなかったのかもしれないが、
全般的にリアル過ぎたかも、と思う。
淡々と時間が流れるので、ちょっと長く感じた。
伊豆と軽井沢の風景はとても美しくて、こういう所で
温かい家族と晩年を過ごせた八重さんは幸せだっただろうな。
(2012年、日本、118分)
ハーヴィー・クランペット [映画のこと]
「メアリー&マックス」のアダム・エリオット監督作。
それ以前に、この「ハーヴィー・クランペット」で
第76回アカデミー賞短編アニメ作品賞を受賞していたそう。
「メアリー&マックス」同様、とてもつらい内容。
主人公のハーヴィーに悲愴感はないのだ。
彼は、自分を不幸だなんて思っていないから。
でも観ている側は、やっぱりつらい。こちらも子ども向けではないなあ。
映画の中に、ハーヴィーなりの「事実」がたくさん出てくる。
彼の解釈なので、事実でないことも含まれているようだけれど、
「ひとが一生に使うデンタルフロスの長さは平均30キロ」
というのは、本当らしい。
セリフはほとんどなく、ナレーションをジェフリー・ラッシュが担当。
(すごい余談ですが、先日「英国王のスピーチ」、観たばかりなので
ちょっと「おー!」でした)
とても短いけれど、ハーヴィーの生涯を描いているせいか、
ちゃんと映画を観た、という満足感が得られる。
しあわせに満ち溢れた人生ではなかった。
けれど、救いがないわけではなくて、ただ悲しく終わってしまうわけでもない。
私は、この監督のラストシーンの描き方、すごく好きだ。
DVDには、さらに短編の「叔父さん」(処女作)、「いとこ」、「兄さん」
(3作合わせて24分)も収録されている。
合わせて観ると、最初から思いが一貫しているのがわかる。
コメンタリーも、製作時の苦労や楽しさが伝わって、おもしろい。
(くまのぬいぐるみの毛を緑に染めて、芝生作ったとか・・)
次の作品は、映画館で観たいと思う。
(2003年、オーストラリア、22分)
それ以前に、この「ハーヴィー・クランペット」で
第76回アカデミー賞短編アニメ作品賞を受賞していたそう。
「メアリー&マックス」同様、とてもつらい内容。
主人公のハーヴィーに悲愴感はないのだ。
彼は、自分を不幸だなんて思っていないから。
でも観ている側は、やっぱりつらい。こちらも子ども向けではないなあ。
映画の中に、ハーヴィーなりの「事実」がたくさん出てくる。
彼の解釈なので、事実でないことも含まれているようだけれど、
「ひとが一生に使うデンタルフロスの長さは平均30キロ」
というのは、本当らしい。
セリフはほとんどなく、ナレーションをジェフリー・ラッシュが担当。
(すごい余談ですが、先日「英国王のスピーチ」、観たばかりなので
ちょっと「おー!」でした)
とても短いけれど、ハーヴィーの生涯を描いているせいか、
ちゃんと映画を観た、という満足感が得られる。
しあわせに満ち溢れた人生ではなかった。
けれど、救いがないわけではなくて、ただ悲しく終わってしまうわけでもない。
私は、この監督のラストシーンの描き方、すごく好きだ。
DVDには、さらに短編の「叔父さん」(処女作)、「いとこ」、「兄さん」
(3作合わせて24分)も収録されている。
合わせて観ると、最初から思いが一貫しているのがわかる。
コメンタリーも、製作時の苦労や楽しさが伝わって、おもしろい。
(くまのぬいぐるみの毛を緑に染めて、芝生作ったとか・・)
次の作品は、映画館で観たいと思う。
(2003年、オーストラリア、22分)
アーティスト [映画のこと]
観終えて、映画館を出て、歩いているうちに泣けてきた。
正直、内容に、というより、作り手の「映画が大好き!」っていう思いに
やられてしまった気がする。
ジャックラッセルテリアの「アギー」は、文句なしのパルムドッグ賞。
伏せ、の変形型の、ごめんなさいみたいなポーズがかわいすぎる。
わんこが一所懸命走る姿に、私はとても弱い。
別に何か使命をもって走ってる訳じゃなくても、ハンカチ必要(笑)。
映画がサイレントから、トーキーの時代になって、
スターだったジョージ(ジャン・デュジャルダン)は、階段を下りていき、
新人のペピー(ベレニス・ベジョ)は、上っていく。
というシーンが実際にあったが、他にもけっこう階段が出てきたように思う。
階段好きなのかな。
主人公のジョージの風貌は、本物の古い映画スターみたい。
ひとの良さそうな笑顔も良かった。
ペピーは、生き生きした表情と、乱暴な(?)投げキスがとても魅力的で。
「ベイプ」のお父さん、運転手役のジェームズ・クロムウェルは、
ずいぶん長い間、あの風貌な気がするけど、全然老けてない?
観ていて、「初心」という言葉が浮かんだ。
自分の環境がどれだけ変わっても、「思い」のはじまりを忘れない。
その、当たり前のようでいて、なかなか持ち続けられないシンプルな気持ち。
映画のフィルムを抱えるジョージ。
スターのジョージも、そうでないジョージのことも、変わらず見つめ続けるペピー。
ストレートで、見ていて気持ちがいいのだった。
音楽も、古い作品を意識していると思わせるものが多く、楽しめた。
この絶妙な音楽が、言葉の役割を十分果たしているよなあと、改めて思う。
サイレントは、やっぱりずっと、作り続けてほしい。
(2011年、フランス、100分)
正直、内容に、というより、作り手の「映画が大好き!」っていう思いに
やられてしまった気がする。
ジャックラッセルテリアの「アギー」は、文句なしのパルムドッグ賞。
伏せ、の変形型の、ごめんなさいみたいなポーズがかわいすぎる。
わんこが一所懸命走る姿に、私はとても弱い。
別に何か使命をもって走ってる訳じゃなくても、ハンカチ必要(笑)。
映画がサイレントから、トーキーの時代になって、
スターだったジョージ(ジャン・デュジャルダン)は、階段を下りていき、
新人のペピー(ベレニス・ベジョ)は、上っていく。
というシーンが実際にあったが、他にもけっこう階段が出てきたように思う。
階段好きなのかな。
主人公のジョージの風貌は、本物の古い映画スターみたい。
ひとの良さそうな笑顔も良かった。
ペピーは、生き生きした表情と、乱暴な(?)投げキスがとても魅力的で。
「ベイプ」のお父さん、運転手役のジェームズ・クロムウェルは、
ずいぶん長い間、あの風貌な気がするけど、全然老けてない?
観ていて、「初心」という言葉が浮かんだ。
自分の環境がどれだけ変わっても、「思い」のはじまりを忘れない。
その、当たり前のようでいて、なかなか持ち続けられないシンプルな気持ち。
映画のフィルムを抱えるジョージ。
スターのジョージも、そうでないジョージのことも、変わらず見つめ続けるペピー。
ストレートで、見ていて気持ちがいいのだった。
音楽も、古い作品を意識していると思わせるものが多く、楽しめた。
この絶妙な音楽が、言葉の役割を十分果たしているよなあと、改めて思う。
サイレントは、やっぱりずっと、作り続けてほしい。
(2011年、フランス、100分)
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